調査リリース

【夫婦関係に関する調査 2025】 「いい夫婦の日」目前! 50~60代女性の夫婦満足度が上昇傾向に 仲良し夫婦と不仲夫婦、一緒に過ごす時間が「長すぎると感じる」感覚に1.5時間の差

株式会社ハルメク・エイジマーケティング

販売部数 No.1(※1)雑誌「ハルメク」などのマーケティングやリサーチのコンサルティングを通じて、50代以上のインサイトを日々探求する、ハルメク 生きかた上手研究所は、50~79歳の既婚男女600名を対象に「夫婦関係に関する調査」をWEBアンケートにて実施しました。
(※1)日本ABC協会発行社レポート(2024年7月~12月)

調査結果のポイント

  • 夫婦関係の満足度は68.7%。前年より2.4ポイント増加し、特に女性50代・60代が9~13ポイントの大幅上昇。満足度が高い層は、幸福度も高い傾向が見られた
  • 一緒に過ごす時間が「長すぎる」と感じる時間は、仲良し夫婦が平日平均約4時間、不仲夫婦が約2.5時間と、約1.5時間の差があった
  • 夫婦間のコミュニケーション手段は、LINE・LINEの電話が増加。一方で、メール・ショートメールは微減。情報共有アプリ・サービスの利用率は約1割
  • へそくり額の傾向が変化。2023年までは、女性>男性、不仲夫婦>仲良し夫婦の構図が、今回の調査では差が縮小した

【調査背景】
ハルメク 生きかた上手研究所は、シニアのインサイトについて調査・分析を行っています。夫婦関係については毎年調査をしていますが、SNSの浸透や急激な物価高はシニア夫婦の関係性にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。その意識や実態を探るべく、本調査を実施しました。

【調査概要】
調査方法:WEBアンケート
調査対象・有効回答者数:全国の50~79歳・既婚の男女600名
調査実施日:2025年9月24日(水)~9月26日(金)
※ 2024年は9月20日(金)~9月21日(土)に実施。調査対象・有効回答者数は2024年度と同様
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所
※ 調査結果のパーセンテージは、小数点以下第2位を四捨五入したため、総数と内訳の合計が一致しないことがあります。

※ 本リリースの内容を掲載いただく際は、出典として「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」と明記をお願いいたします。
※ 調査主体の「ハルメク 生きかた上手研究所」所長への取材、コメント提供も可能です。

夫婦関係の満足度は68.7%。前年より2.4ポイント増加し、特に女性50代・60代が9~13ポイントの大幅上昇。満足度が高い層は、幸福度も高い傾向が見られた

  • 夫婦関係の満足度(「満足」「やや満足」の合計値)は68.7%。最も高いのは男性70代で78.0%。なお、本調査回答者の結婚生活平均年数は35.7年。
  • 2024年は2021 年と比べ、全体では約8ポイント低下していたが、今回は2.4ポイントの増加となった。また、今回は2024年と比べ、性別では女性50代で9.0ポイント、60代で13.0ポイント増加しているのが目立つ。ただし男性50代は6.0ポイント低下しており、その他の層は横ばいである。
  • 配偶者との関係に「満足」「やや満足」と答えた層を“仲良し夫婦”、配偶者との関係に「どちらでもない」「あまり満足していない」「満足していない」と答えた層を“不仲夫婦”として、幸福度との関係を見ると、仲良し夫婦では平均7.4点、不仲夫婦は5.3点と、2.1点の差があった。
  • 年代別に見ると、仲良し夫婦の幸福度は年代による差がほとんどなかったのに対し、不仲夫婦では年齢が若いほど幸福度が低下する結果となった。


一緒に過ごす時間が「長すぎる」と感じる時間は、仲良し夫婦が平日平均約4時間、不仲夫婦が約2.5時間と、約1.5時間の差があった

  • 仲良し夫婦は不仲夫婦より一緒に過ごす時間や会話時間が長いことは、今までの調査で明らかとなっていたが、今回「一緒にいる時間が長すぎると感じる時間」「短すぎると感じる時間」を新たに聴取した。
  • 「長すぎる」「短すぎる」の境界をみると、仲良し夫婦は「2時間~3時間未満」で「長すぎる」と感じる割合が上回るのに対し、不仲夫婦は「30分~1時間未満」となっている。
  •  仲良し夫婦が「長すぎる」と感じる平均時間は平日で平均248.6分(約4時間)、不仲夫婦は158.1分(約2.5時間)と90.5分(約1.5時間)の差があり、逆に「短すぎる」と感じる平均時間は仲良し夫婦で83.7分、不仲夫婦は79.2分と仲良し夫婦の方がやや長かった。
  • また、仲良し夫婦の「(一緒に過ごす時間が)長すぎると感じることはない」が75.0%だったのに対し、不仲夫婦では37.8%と約半分の割合だった。


夫婦間のコミュニケーション手段は、LINE・LINEの電話が増加。一方で、メール・ショートメールは微減。情報共有アプリ・サービスの利用率は約1割

  • 離れた場所でのコミュニケーションツールとして最も使われているのはLINEのメッセージで66.2%と3分の2が使用。昨年と比べて約9ポイント増加している。
  • 次いで多いのは電話(固定・携帯回線の通話)だが、昨年と比べてほぼ横ばい。LINEの電話は2.5ポイント増加している。
  • 夫婦間のコミュニケーションにFacebook、Instagram、XなどのSNSを使う割合は0.3%だった。
  • 夫婦間のコミュニケーションや情報共有のためのアプリ・サービスについては「使っていない」が9割を占めたが、昨年より1.5ポイント減少した。
  • 最も使われているのは「写真・動画共有」5.0%で、昨年より1.2ポイント増えた。次いで「スケジュール共有」4.8%で、1.1ポイント増加。

へそくり額の傾向が変化。2023年までは、女性>男性、不仲夫婦>仲良し夫婦の構図が、今回の調査では差が縮小した。

  • 今回調査で「へそくりがある」と回答した人は全体の26.5%。
  • へそくり平均額が最も高いのは「女性・不仲」で162万円、最も低いのは「女性・仲良し」で101万円だった。これまでは「不仲夫婦・女性」が最も高く「男性・仲良し」が最も低い傾向だったが、差が縮小した。
  • へそくりが減った理由としては「欲しいものがあったから」が26.0%で最も多く、物価高の影響としたのは7.8%だった。

■へそくりが減った理由(n=34「へそくりが減った」と回答した人)
 1位:欲しいものがあったから(26.0%)
 2位:突発的な出費があったから(20.8%)
 3位:物価高で欲しいものが高かったから(7.8%)


■最近「夫婦関係」について考えたか。考えた人はそのきっかけ(自由回答)
 【仲良し夫婦】

  • 他の夫婦の過ごし方を聞くと、自分たち夫婦とどう違うかを考える(女性50代)
  • 昨年の熱中症以来、夫の健康面の心配が出てきた。あまり生活面で注意しすぎると、鬱陶しく思うようでその加減が難しい。健康面での意識の差があり、これからの課題(女性60代)
  • 数年前私が心臓手術で長期入院した際は、妻の存在がつくづく有難いと痛感した(男性70代)
  • 加齢とともに耳が遠くなって話がちぐはぐになることが増えて、親が辛がっていたことが、初めて分かった気がした。とてももどかしい。人間は話をして理解し合う生き物なんだなぁとしみじみ(女性70代)
  • 改めて考えたことはありません。今のままで充分です(女性70代)

 【不仲夫婦】

  • 転職の相談をしたが、妻は興味を示さなかった。まるで他人事だった(男性50代)
  • 子どもの大学受験が今年ありましたが、子どもの進学する大学をめぐり夫がへそを曲げて、子どもの行きたいようにではなく、自分の見栄のためという理由が浮き彫りになりました。もうこの人はだめだなと思いました(女性50代)
  • 夫婦共通の知り合いがいて、縁を切りたいので、メールをブロックするように頼んでいたのにしていなかったことを知り、私のことなんてどうでもいいのかなぁと思った(女性50代)
  • 口喧嘩から、相性の不一致を我慢できなくなった(男性70代)
  • 親類から嫌がられていた義両親に考え方が似てきた。死後離婚を考えている(女性・70代)

 

■「ラストパートナー」(第二の人生を共に歩む人)を得るとしたら、その人に一番望むことは何か(自由回答)
 【仲良し夫婦】

  • 残りの人生、好きなことをして過ごしてほしい(男性60代)
  • お互いの大切にしているものを尊重すること。感覚が違うことも多いけど、相手の大切なものを尊重する気持ちは一番必要なことだと思う。同調しなくとも理解することが大切(女性60代)
  • 臨終のときに看取ってほしい(男性70代)

 【不仲夫婦】

  • いたわり、潔癖過ぎない、正直すぎない、体の相性(男性50代)
  • 自由と裕福さを与えて欲しい(女性50代)
  • 自分に対する敬意(男性60代)
  • 思いやりと相手の話を聞いて会話が成立すること(女性60代)
  • 干渉しないでほしい(女性60代)
  • 自分の事を愛してくれる(男性70代)
  • 束縛されてきたから、心の広い、自由にさせてくれる人(女性70代)

 
【専門家の見解
ハルメク 生きかた上手研究所 所長 梅津 順江(うめづ ゆきえ)
2016年から現職。年間約900人のシニアへの取材やワークショップを通じて、誌面づくりや商品開発、広告制作に役立てている。時代や世代も捉えて、半歩先の未来を予測・創造している。
著書に『消費の主役は60代 シニア市場最前線』(同文舘出版)など。
 

“3時間の距離”がつなぐ 新・熟年夫婦の幸せのカタチ

 夫婦関係に50代以上の7割近くが満足しており、前年から2.4ポイント上昇しました。特に50代、60代女性で顕著な伸びを見せています。コロナ禍から昨年まで「女性の方が夫婦関係にシビア」という傾向でしたが、それを覆す兆しが見えました。
「へそくり額」の差が縮まった点にも注目です。従来は女性の方が高い傾向でしたが、今年はその差が薄れました。電子マネーの普及や家計管理の分散化により、「へそくり」という概念そのものが変わりつつあると考えられます。経済的な自立と共有のバランスが夫婦の在り方に静かな変化をもたらしているようです。
今年、印象的だったのは「一緒に過ごす時間」の適量です。仲良し夫婦のボーダーは「3時間」、不仲夫婦では「1時間」。3時間を超えると、仲良し夫婦でも「長すぎる」と感じ始める人がいるということです。長く一緒にいるほど仲が良いわけではなく、心地よい距離感こそが幸福度を左右していることが明らかになりました。自由記述からは「干渉せず、尊重し合う」「お互いの自由」をラストパートナーに望んでいることが分かりました。平均36年連れ添った夫婦にとって、「常に一緒にいること」より、「適度な距離を保つこと」が関係を長く続ける秘訣なのです。
 夫婦間のコミュニケーション手段の変化も見逃せません。「LINE」や「LINEの電話」の日常的な利用が拡大し、直接話すだけではなく、気軽なメッセージで関係をつなぐスタイルが定着。さらに一部では、スケジュールや写真・動画を共有するアプリの活用も見られました。デジタルツールがシニア夫婦の「ちょうどいい距離感」を支える新しいカタチになりつつあるようです。

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