取引先向け事業方針説明会って何ですか? ~会社がどん底にいた時に救いの手を差し伸べてくれたある出来事~
ハルメクグループの「今」と「未来」を伝えるオウンドメディア「ハルイロ」をご覧いただきありがとうございます。 ハルイロ編集部の入山です。
女性誌販売部数No.1※雑誌として、多くの読者に支持されている「ハルメク」は、雑誌だけでなく、WEB情報サイト「HALMEK up」や通信販売、講座イベントなど多岐にわたり事業を展開しています。
今回クローズアップするのは、毎年7月に行われる、「取引先向け事業方針説明会」についてです。ハルメクは雑誌「ハルメク」が購読者数No.1として認知を拡大してきましたが、売上の約8割は物販事業が担っています。
オリジナル商品が8割にもなる製造小売企業として毎年7月に行っている「取引先向け事業方針説明会」はどうして始まったのか?機密性の高い貴重な情報である事業方針を取引先に説明する理由とは何か?
ぜひ最後までお読みください。
※日本ABC協会発行社レポート(2025年1月~6月)
半日かけて行われる事業方針説明会
2025年7月9日(水)、飯田橋からほど近いホテルメトロポリタン エドモントにて、2025年度事業方針説明会が行われました。最初に社長の宮澤から昨年度のハルメクグループ全体の総括と今年度の方針説明が行われます。この内容も従業員向けに行う内容とほぼ一緒。取引先様も志を共にする同志と考えて、表面的な話だけでなく、情報を共有する姿勢が垣間見えます。
その後は、副本部長から物販ビジネスユニットの全体方針、各カテゴリーの事業部長からそれぞれの方針説明が行われました。
ハルメクからの事業方針説明が終わってからは、取引先様の表彰式と続きます。2024年度は写真の通り、イノベーターの部2社、既存商品の部1社、新商品の部1社が社長賞に選ばれました。
この賞は、ハルメク世代の顧客に支持される製品を一緒にお作りいただき、その功績を称えるものとして毎年表彰しているものになります。
最後に、代表の宮澤が締めのご挨拶をさせていただき会は終了となります。
なぜ、取引先様向けにここまで事業方針を説明するのか?
今回のハルイロの記事の本題はここからになります。
従業員に話している社内情報を、なぜここまでオープンに取引先様に説明をするのか? ここからはハルメクの歴史と宮澤のインタビューを混ぜながら、その取り組みの経緯と背景、思いについてご紹介したいと思います。
まず、歴史的背景として、ハルメクグループの前身の会社は「いきいき」です。さらにその前は「ユーリーグ」という会社でした。ユーリーグは雑誌「いきいき」を刊行し、2006-7年には約40万部を販売。物販事業も好調で飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している会社でした。ところが、2008年のリーマン・ショックの影響で経営が傾き、2009年には民事再生という急転直下な状況に陥ります。
その後、再生ファンドが設立した「いきいき株式会社」に事業譲渡し、その会社の経営を任されたのが今の代表をしている宮澤でした。事業を譲受し、それまでの社員などを引き継いで、すんなり事業が再開できたかと言うともちろんそんな簡単ではありませんでした。当時の取引先様は、民事再生によって売掛金の回収ができない状況になりました。物販事業の取引先だけではなく、雑誌を作るための印刷会社や製紙会社などすべての取引先が対象です。事業再開の道のりはとてもハードルの高い状況の中、事業再開に漕ぎつけた理由が、前述した事業方針説明会にあると言います。その歴史的背景や当時の状況、現在も続けている理由について、代表の宮澤に話を聞きました。
入山:宮澤さんは企業再生のために経営者として当時のいきいき株式会社(現ハルメク)に来られました。事業を継続するためには、各社に取引を再開してもらわないといけない状況でしたが、それまでの取引先は売掛金の回収ができない状況でしたよね?
宮澤:そうだね。彼らがユーリーグに対して持っていた債権はほとんど返済されなかったというのが実情。 仮に1,000万の売掛金があったとして50万ちょっとだけが返済されたという状況だった。
入山:その返済は取引再開の前にされたんですか?
宮澤:返済したのはだいぶ後になってからだったかな。
入山:では、その返済前に取引を再開してもらう必要があったということですね?
宮澤:そう。その月から取引してもらわないと事業を停止してないし、雑誌は毎月出していたからね。雑誌を発行するための紙の調達や印刷もだし、紙面を作るためのモデルの人たちも何から何まで対象だった。通販の方は1ヶ月は事業停止をせざるを得ない状況で、お客様にもご迷惑をおかけしてしまった。
入山:それはかなり双方にとって厳しい状況ですね。
宮澤:そうだったね。金を払わなかった会社(事業譲受はされているので実態としては別会社)にもう一度商品を卸すという商売をしなきゃいけないし、こちらも新しい会社ではあったけどお金が潤沢にあるわけではなかったし。
当時、民事再生で新しい社長としてきて、自分が潰したわけじゃないけど、そこで損してる人たちがたくさんいて、個別に会いに行くと、ファンドが入ってお金があるんだから返してもらえるんですよね? とか厳しく詰め寄られる場面も結構あった。
入山:どうやってその極限の状況を打開したんですか?
宮澤:まず、当時の状況でいうと、社員のところにも個別に取引先が来て、取引を再開したいなら踏み倒した売掛金を払ってからと言われていた。色々上がってくる報告を聞いても一筋縄ではいかないなと。
例えば当時借りていた倉庫はロックアップされていて、シャッターを閉められて何も出せない状態になっていた。そういう状態で、取引を再開したいなら前払いしろとか、保証金を積んでくれとか、キャッショオンデリバリーと言って商品と交換に現金で払えとか。良くて、納品後10日以内に支払えみたいなことばかりだったね。
普通の取引だったら当月末締め翌月末払いが多いけど、とにかく厳しい要求が来て取引ができない状況で、事業を継続することが非常に危うい状況だったわけ。
それ以外にも想定外のことが色々あって、もう厳しかった。
当時、資金繰り表を作って1日ごとに今現金がいくら残っていて、支払いがこの日にいくら出ていって、入りはこれくらい入るだろうと。毎日2ヶ月から3ヶ月先ぐらいまでの資金繰りを計算して、「ちょっとここはキャッシュが足りないから、仕入れは抑えよう」とかね。そういうことをやっている綱渡りの状態だったので、前金で払えとか保証金払えと言われて本当に厳しかった。この状況を何とかしなきゃいけないって考えた時に、個別で対応してもダメだなと。
簡単に言うともう信頼されてない。当たり前だよね。売掛金を踏み倒したんだもの。あと、ファンドが入ったことでお金たくさんあるでしょ?みたいな過剰な期待もあった。そういった状況をどうやって解決するか?と考えた時に、もうまとめて集まってもらおうと。包み隠さず「今の会社の状況はこうなっていて、こういうことをやろうと思っている。ついては協力していただきたい」ということを全部説明して、取引を再開してもらいたいと全員の前でお願いしようと企画した。
当時はちゃんとした会場を借りると高いから、神楽坂のイタリアンレストランを借りて、何十人か来てもらった。
その説明会もお金がないから会費制にしたの。だってお金ないんだもん。取引先の人たちも、今どんな状況か知りたいから会費を払って参加してくれた。
入山:説明会はどういう形でやったんですか?
宮澤:まず今後の事業方針を説明して、「質問は何を聞いてくれても良いです。全て答えます。」と言ってやった。
入山:全部1人で対応されたんですか?
宮澤:説明と回答は全部 1人で答えたかな。最終的に、多くの企業が応援するよって言ってくれて、そこから取引を再開してもらった。ありがたかったなぁ。取引をやめた企業は、ほとんど無かったと思う。
入山:その時って宮澤さんとしては真摯に説明されていると思うのですが、相手はこれまで売掛金を踏み倒されている人たちだから、そんな説明を受けたからと言って、すぐに気持ちが変わる感じもしないのですが、どんな状況だったんですか?
宮澤:もう必死だったから、よく覚えてはいないけど。とにかく正直に喋った。嘘つかない。過大な期待を持たせない。そして、質問がなくなるまでやった。
最後の終わり方としては、皆さんから応援してもらって終わった感じ。ただ、そうは言ってもまだスタートして問題山積みの状態だったし、取引先からしたらどうなるか分からないなと。その後の状況も取引先としては気になると思ったので、半年後か1年後に「その後こうなりました。今後はこういう計画でやろうと思っています。」と、信頼を得るためには必要だなと思って説明会を続け今に至るという話。
入山:取引先を重視するのは、再建のためというのはあったと思いますが、それ以外にも理由はありますか?
宮澤:これは私の前職のTMJ(コールセンター事業の会社)で法人向けのビジネスをやっていた頃の話だけど、その会社ではクライアント企業から仕事をいただく立場だった。その時、本当に業者扱いされて、ある程度はしょうがないけど、全く情報をくれなかったりする企業もあった。
例えばコールセンターで今こういうことをやって、その結果どうだったかという管理KPIの数字は最低限のものはもらえるけど、その部門の業績がどうだったかとか教えてくれなかった人もいた。当時、ある大企業のコールセンター業務を請け負っていたんだけど、その担当課長が問題があるとすべてうちのせいにしてきた。そこで、その人の上司も含めて報告会をやった際に、案の定その課長が取締役を前に、いかにTMJが悪いかという話をされた。ただ、最後にその課長の上司である取締役が「これはTMJさんじゃなくて君の問題だろ」って言ってくれたんだよね。「TMJさんはちゃんとやっているじゃないか。」とね。漢(おとこ)だなぁって感動して、その時は本当に涙が出そうだった(思い出している目にも…)。。
入山:見てる人はちゃんと見てるんですね。
宮澤:見てる。本当に嬉しかった。やっぱりそういう対応された後のやる気は全然違うしね。だから自分が発注側になったときはそういう付き合いかたをしたいと思った。
今のハルメクグループの社員の人たちの中には、当時のことを知らない人たちもいると思うので、そうした苦難やその後の成長を一緒に乗り越えてきたパートナー企業として、思いを共有した付き合いをしてくれるとうれしいね。
入山:こういう思いも伝えていくことが大事ですね。事業方針説明会は今後も続けていかれますか?
宮澤:それは企業としての計算もある。まず、ハルメクの状況とかやりたいことを正確に理解してもらえれば、心ある人ならそれを前向きに捉えて前向きに考えてくれるだろうなと。目標はこれです、課題はこれなんです、と言ったらうちはこうやって貢献しようって思ってくれるかもしれない。でも情報を遮断したら何していいかわからないから言われるまでしないだろうと。
入山:志があって、一緒にやりたいと思ってくれる人が見えてきますね。
宮澤:ネガティブサイドとしては、ハルメクのやろうとしている情報が、取引先を通じて競合に漏れるということは事実として起こっているとは思う。ハルメクの原価率はこのくらいで、今度こういう商品に注力しようとしているとかね。でも、まあそんなの別に真似するなら真似すりゃいいやと。常にこちらが半歩先に行ってればいいんだよ。その半歩先という意識を、社員のみんなも持ってくれるといいなと思っています。
今回のハルイロ記事はいかがでしたでしょうか。今のハルメクグループは雑誌も日本で一番の購読者がいて、ユニークなビジネスモデルで注目を集める企業に育ってきましたが、その再生の背景には、こうした地道な取り組みがされていたということも知っていただけたのではないかと思います。業者ではなく、理念である「シニア女性を幸せにする」を一緒に実現するための同志(パートナー)と考え取り組む姿勢、個人としても本当に素晴らしいなと思います。
そんなハルメクグループでは全国の事業所で多くの人材を募集しています。この記事を読んで、ご興味を持っていただけた方は、採用サイトもぜひご覧ください。
取材・編集/入山(ハルイロ編集部)
記事をシェアする
2026.02.25
調査リリース【健康に関する意識・実態調査 2025】 ”認知症予防“ や ”病気になりにくい生活” など健康予防への意識が向上傾向。 健康にかける費用も約15.7万円と、昨対比約1.8万円アップ。 一方で「何を信じたらよいのかわからない」という悩みも増加傾向。
2026.02.24
プレスリリース6.5万人以上が利用した「ハルメク おみせ 名鉄百貨店」が「ハルメク おみせ 名古屋三越栄店」として3月18日(水)に移転オープン
2026.02.19
プレスリリース2025-2026 ハルメク シニアトレンド「再点火メイク」が初の講座化 中高年女性の美容消費拡大を背景に、ラス恋と連携 〈3/1(日)開催〉
2026.02.18
調査リリース【50歳からのハルメク世代に聞く なんでもランキング】50歳以上の女性が選ぶ「自慢できること」 TOP3は「チャレンジ精神が旺盛」「自立心がある」「行動力・実行力がある」 一方で自慢できるようになりたいのは「健康・体力」と「時間の使い方」


