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創業物語vol.3:「お客様」の声を叶えたい…民事再生時も貫いた商品開発の思い

ハルメクグループの「今」と「未来」を伝えるオウンドメディア「ハルイロ」をご覧いただきありがとうございます。

雑誌『いきいき』(1996年3月創刊)から『ハルメク』へ。29年の歴史は、いつも人の物語とともにありました。

新連載「創業物語」では、創業期を知る社員の声を通して、その歩みをたどります。第3回は、創業間もない時代にアルバイトとして加わり、商品開発の現場を歩み続けてきた貴代さんです。

アルバイトのコールセンターで出合った「お客様の声」

編集部:商品開発の現場を歩んできた貴代さんに「お客様の声」を起点にした仕事の原点を、あらためて伺います。

まずは、貴代さんとハルメク(当時ユーリーグ)の出会いから教えてください。スタートはコールセンター配属だったんですよね。

貴代さん(以下貴代):はい、最初はアルバイトで入りました。大学卒業後、地元の友達が声をかけてくれたんです。ただ創業当時は今みたいに組織がきちんとしていたわけではなくて。コールセンターもフロアの一部を使っていて、編集部もコールセンターも混在しているという状態でした。

編集部:お客様とのやりとりは、貴代さんにとってどんな時間だったのでしょうか。

貴代:当時は母親と話している、という感じが近かったですね。

電話注文ですが、いろんな話をしてくださるんです。今日の出来事だったり、体調のことだったり、ちょっとした愚痴だったり。それがすごく楽しかったんですよね。「仕事」というより、人生を聞かせていただいている、という感覚に近くて。ありがたいな、と思いながら働いていました。

社員総出で電話を取った、成長のまっただ中

編集部:2年のアルバイトを経て、2001年に正社員として入社。当時の会社はどのような雰囲気でしたか?

貴代:とにかく急成長していた時期で。朝から晩まで仕事をしても、常に何かに追われているような状態でした。

編集部:かなりの忙しさだったんですね。

貴代:でも不思議と、大変さはなかったんです。会社が伸びている実感だけが印象に残っていますね。社員の人数は少ないのに、電話のコールが止まらない。

毎月、何かが更新されていく。その流れの中に自分もいる、という手応えはありました。当時編集部だった岡島さん(創業物語Vol.1)たちも電話を取っていましたし、まさに社員総出ですね。

お客様の声を信じて、セオリーをひっくり返した初めての商品

編集部:その後、7年ほど経験を積まれ、2008年に商品開発の現場へ異動。これまでのお客様対応の経験はどう生きていましたか?

貴代:「実際に使うときはどうなるの?」「こういう場面でも大丈夫?」電話口でそんな質問をたくさん受けてきました。商品開発では、どんな暮らしの中で使うのかを具体的に思い描くことが欠かせません。コールセンター時代に、お客様の生活や声をかなりリアルに聞いてきた。その蓄積が、そのまま商品作りにつながっています。

編集部:「お客様の声を商品にする」という意味で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

貴代:たくさんありますが、やっぱり一番初めに担当した商品は忘れられませんね。

最初に手がけたのは、バッグ。当時、若い人たちの間でA4サイズの鍵柄のトートバッグが流行っていました。それを見て、「このサイズ感、ハルメクの読者にも絶対に必要だ」と思ったんです。でも上司からは「うちの読者がA4バッグなんて持つわけがない」と、猛反対されました。

編集部:それでも、諦めなかった。

貴代:どうしてもやりたかったんです。若い世代で売れているものでも、ハルメクの読者向けにきちんとアレンジすれば、必ず届く。そういう確信がありました。

そこで、お客様に直接ヒアリングを行いました。すると、「お稽古ごとをしている」「荷物が多い」「でも身長が高くないから、ちょうどいい大きさのバッグがない」そんな声がたくさん返ってきました。

編集部:そこから、商品作りが具体化していったんですね。

貴代:お稽古ごとだけじゃなくて、「一泊旅行にも使える」という使い方を提案しました。外側は落ち着いたデザインにして、内側は明るい色に。開けた瞬間、気持ちがぱっと明るくなるように工夫しました。

そうしたら……本当によく売れたんです。お客様の声と、自分が「どうしても作りたい」という思い。その両方が重なったときに、初めて本当に売れる商品になるんだと。

編集部:まさに「声が形になる」、若い感性が生きた象徴的なエピソードですよね。世代が違うと一言で切り捨てられがちなところを、結果としてヒットに導いた。

貴代:だから今、20代から30代の、まだ50代が少し遠く感じられる社員には、「その感性こそ、ハルメクで生きる」と伝えたいですね。

私自身はもうハルメク世代に片足を突っ込んでいて(笑)、若い世代の流行を追うのが難しくなってきたな、と感じることもあります。だからこそ、フレッシュな目を持った若い人たちに、どんどん入ってきてほしい。そこに、今はすごく期待しています。


民事再生の中で気付いた「一人ではできない」ということ

編集部:2009年3月、民事再生。入社8年目で、会社も少しずつ波に乗ってきた頃だったと思います。あのとき、貴代さんはどのように受け止めていましたか。

貴代:最初は状況がよく分からなかった、というのが本音です。

出社したら、入り口に張り紙があって。その後、社長からの説明で、社員全員に向かって頭を下げられて。あの光景は、今でもはっきりと覚えています。上村さん(創業物語Vol.2)も状況の打開に奔走していて、まるでドラマみたいでした。

ただ、不思議だったのは、業績が急に悪くなった感覚はなかったことです。お客様が一気に離れていく感じも、当時はそれほど強くなかった。それなのに「民事再生」という言葉だけが、突然目の前に現れた。

編集部:発表後、現場はどんな状況だったのでしょうか。

貴代:問い合わせが一気に増えました。お客様からも、取引先の方からも、厳しいお言葉をたくさんいただきました。中には、直接会社に来られた方もいらっしゃいました。

編集部:当時、根岸さんは商品開発にいらっしゃいましたよね。民事再生の最中でも、開発は続いていたのでしょうか。

貴代:はい。その頃はコスメを担当していて、フェイスパウダーを開発していました。ちょうど製造に入る直前に民事再生が重なり、「本当に作れるのか」という状況になったんです。

これまで長く続けてきた信頼関係の中で事情をきちんと説明し、「どうしても形にしたい」とメーカーさんにお願いしました。民事再生中の会社と取引するのは、メーカーさんにとって大きなリスクですから、無理は承知の上です。

新商品で売れる保証もない中でしたが製造を受けていただき、そのパウダーは結果的によく売れ、お客様にも喜んでいただけました。

取引先も、社内の仲間も、同じものづくりをしている“仲間”。私たちだけでは、物は作れないし売れない。民事再生を経験したからこそ、「一人で仕事ができているわけではない」という感覚が、今も強く残っています。

「くらし・靴事業室」からつくる、次のハルメク

編集部:現在は「くらし・靴事業室」の室長として活躍されていますが、この事業部が立ち上がったのはいつ頃でしょうか。

貴代:「暮らし」と「靴」が一つの事業室になったのは、2025年の10月です。その少し前からそれぞれのカテゴリーに関わってはいましたが、本格的に事業として一本化された形です。

編集部:2021年度には、通販本部のヒット商品開発プロジェクトを牽引され、「チャレンジ賞(MVP)」も受賞。そうした現場での積み重ねが、今につながっているように感じます。現在、室長としてはどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか。

貴代:一番大きいのは、事業の方向性を考えて、それを実行していくことですね。暮らし・靴事業室は、もともと物販BUの中の一部でしたが、今は「総合通販からの脱却」を掲げています。

単なる総合通販の一つのカテゴリーではなく、「ハルメクの暮らし、靴といえばこれ」そう言ってもらえる存在になることが、事業室のミッションです。

編集部:具体的には、どんなところにその“らしさ”を感じてほしいと考えていますか。

貴代:他で売っている商品でも、編集力や情報力を通して、その良さをどう引き出せるか。お客様の暮らしにどう結びつけて提案できるか。

「世の中にある同じ商品」と比べたときに、どこが違うのか、どこに価値があるのか。それをきちんと伝えられるかどうかが、これからの勝負だと思っています。


「迷ったら、お客様に聞け」受け継ぎたい言葉と、これからの夢

編集部:最後に、社員やこれからハルメクに入ってくる方たちへ、メッセージをお願いします。

貴代:ハルメクの一番の強みであり良さは、やっぱり「お客様の声」だと思っています。

突然お電話しても、不審がられることなく、丁寧に答えてくださる。正直、自分だったら同じことをされたら、そこまで話さないと思います(笑)。でも、ハルメクのお客様は違う。その信頼関係は、一朝一夕で築けるものではありません。

昔、創業社長は「迷ったら、お客様に聞け」とよく言っていました。今も私は、その言葉を部下たちに必ず伝えています。

全国に読者や、神楽坂を始め店舗網も広がり、お客様との接点は、これまで以上に増えてきました。このような環境があるのは本当に恵まれていると思いますし、生かさない手はないと思っています。

編集部:最後に、これからハルメクで叶えたい「夢」を教えてください。

貴代:街を歩いていて、「あ、あの人、ハルメクの靴を履いている」と自然に分かる。そんなブランドに育っていったらいいな、と思っています。「その靴、かっこいいね」「履きやすそうだね」そう声をかけてもらえる存在になれたらうれしいですね。


創業物語第3回はいかがでしたでしょうか。

創業期のコールセンターから商品開発の最前線へ。そして民事再生という試練の中でも、「迷ったら、お客様に聞け」という言葉をよりどころに、ものづくりを止めなかった貴代さんの歩みは、ハルメクが何を信じ、何を軸にしてきたのかを静かに物語っています。


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取材・編集/裕之(ハルイロ編集部) ライター/梅津美希


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