挑む現場シリーズ vol.1 50代からのSNSマーケティングを切り開く ― 大人女性市場への新たな挑戦
ハルメクグループには、日々刻々と変化する市場の最前線で、前例のない課題に立ち向かう「現場」が数多く存在します。
新企画「挑む現場シリーズ」は、プロフェッショナルとして困難に抗い、泥臭くも鮮やかに結果を導き出す挑戦の瞬間にスポットを当てます 。
きれいごとだけではない、熱を帯びた「現場」のリアル。
記念すべき第1弾は、50代からのSNSマーケティングという未踏の領域に切り込み、成果をあげた一人の若手女性社員の物語から始まります 。
「私にやらせてください」直談判の裏側
2024年、沙耶香さんはハルメク・アルファに、派遣社員を経て正社員として入社しました。配属先は通販本部・編集統括部で、アパレル2課の編集を担当 。
そこで直面したのは、ECサイトに掲載されている宣材写真をそのままSNSに転送するだけの、どこか体温の感じられない運用実態でした 。
当時、50代に向けた新ブランド「ReDial(リダイヤル)*」が立ち上がったばかりで、会社全体がSNS活用の正解を模索している最中。アカウントは存在するものの、フォロワー数は伸び悩み、外部のインフルエンサーに依頼しても目覚ましい成果にはつながりません。
「お金だけがかかっている、もったいない状態」を、歯がゆい思いで見つめていました 。
アウトドア系の発信で個人インスタグラムのアカウントのフォロワーを1.6万人まで増やした経験があり、入社面接時にもそのスキルを伝えていた沙耶香さん 。
「せっかく自分がここにいるのに、何も貢献できていない」
「もっとこのブランドの魅力を、動画の力で伝えられるはずだ」
その歯がゆさは、やがて行動へと変わります。彼女は定例の社長会議の場で、自ら手を挙げました。
「インスタグラムの運用を、私にやらせてください」
*ReDialは2026年4月現在 ブランドを別会社に譲渡し運用のみ手掛けている
予算0円、83日間の疾走――フォロワーは5.9倍へ
予算0円、機材なし、モデルなしという過酷な条件からのスタートでしたが、「限られた選択肢だったからこそ、どうすればいいか考える力がついた」とポジティブに捉えたそう。
中学生の頃から自分のホームページを作ってブログを発信することが好きだった沙耶香さん。その「表現者」としての自負が、彼女を支えていました。
まず着手したのは、SNS市場における「勝ちパターン」の徹底的な研究でした。今、競合がどのような発信をしているか、どの動画が伸びているか。配信情報をいち早くチェックすることを日課とし、時代に取り残されない感性を磨き続けました 。
また、完璧すぎて自分とかけ離れた世界ではなく、「このアカウントを見ていれば、もっと素敵な自分になれるかも」という期待感を大切にしました 。
撮影現場では、自らスマホを構え、ライティングを変えながら動画の「見え方」を研究し何度も撮り直しました。たった10数秒のリール動画を作るために、場所選びからコーディネートまで、膨大な労力と情熱を注ぎ込んだのです 。
その執念は、やがて数字となって表れました。
2024年1月15日から4月8日までのわずか83日間で、フォロワー数は934人から5,545人へと急増。さらに、SNSからの流入により、販売サイト内での売上ランキングは150位から15位へと一気にアップ。
この実績が評価され、沙耶香さんは2024年度下期の「チャレンジ賞」を受賞したのです 。
正解のない市場に挑む
「ReDial」での劇的な成果は、社内に大きな衝撃を与えました。その実績が認められ、ハルメク・アルファの主力事業である「ことせ」のSNS戦略という、さらに大きなミッションを託されることになります。
2026年4月からの本格運営開始に先立ち、沙耶香さんは2月にひとつの大きな実験を行いました。ターゲットとする50代〜70代の大人女性に対し、「どのような動画が心に刺さるのか」を検証するため、あえて毛色の異なる3パターンのテスト動画を投稿したのです。
① 手の届く憧れ感を感じさせるスタイル
60代のスタッフをモデルにし、少しおしゃれをした「お出かけスタイル」を提案。
② 親近感を感じさせるスタイル
50代のスタッフをモデルにし、普段の延長で取り入れられるコーディネートを紹介。
③ 着回しにフォーカスしたスタイル
若手のスタッフをモデルにし、顔は出さず、服の動きや着回しが分かる動画に特化。
結果は、いずれもよく見られました。
特に懸念していた若手スタッフの動画でも、「自分向けではない」といった拒否感はほとんど見られませんでした。
この結果から見えてきたのは、「大人女性向けだからこうあるべき」という明確な正解はない、ということです。
だからこそ、固定観念にとらわれず、試しながら最適解を探っていくしかない。これまでの経験をもとに走りながら考える、その想いで、本格運営に踏み出しました。
100人の生の声が武器。正解なき市場の先駆者に
沙耶香さんが挑む「50代からのSNSマーケティング」という領域には、参考にすべき成功事例がほとんど存在しません 。
SNSコンサルティング会社に助言を求めても、「研究対象となるデータ自体が少なすぎる」と突き返されるのが実情です。しかし、沙耶香さんはその現状を「だからこそ、私たちが先駆者になれるチャンス」と前向きに捉えています 。
「大人女性だからこんな投稿は見ないよね、という固定観念は持ちたくありません。SNSは投稿するだけなら0円。だからこそ、失敗を恐れずにどんどん新しい表現にチャレンジしていきたいんです」
その果敢な挑戦を支えているのは、ハルメク・アルファが持つ圧倒的な現場の強み。
社内のコールセンターには、お客様と同年代のパート社員が100名以上在籍しています。彼女たちは、お客様の悩みを最も近くで聞き、かつ自分たち自身も「SNSを始めたばかり」という、ターゲット層そのものの感覚を持つ貴重な存在です 。
沙耶香さんはアンケートを行い、「どんな動画が見たいか」という生の声を直接汲み取ろうとしています 。
「彼女たちの協力なしでは、この運用は成り立ちません。社内に100人以上の味方がいて、生の声がいつでも聞ける。これこそが、他社には真似できない私たちの最大の強みです」
母への想いと一生現役。挑戦を支える強さの源
沙耶香さんの挑戦を支えるのは、単なるマーケティングスキルだけではありません。最近彼女が始めたという「キックボクシング」は、心身ともに強くありたいという彼女の決意の表れでもあります 。
「最近よく考えるのですが、私はずっと働いていたいんです。死ぬまで仕事をしていたいというか。今は50代以上の女性に向けた事業に携わっていますが、私自身も年齢を重ねた自分のことを好きでいられる人生でありたい。
どうしても『若い頃の方が楽しかった』『あの時の方が綺麗だった』と過去を懐かしみがちですが、50歳でも60歳でも、その瞬間が一番楽しいと思える人生にして欲しいと願っています」
その視線の先にあるのは、65歳になる実母の存在です。子育てや介護を終え、ふと人生の過ごし方に戸惑う母親の姿を見て、沙耶香さんは強く思いました。「年齢に関わらず、人は何にでもなれるし、もっと素敵になれるんだ」と。
彼女がファッションを通じて提供したいのは、単なる「服」ではありません。その服を纏うことで生まれる「自信」であり、人生を前向きに楽しむための「活力」なのです。
紙からデジタルへ。一歩先を走り続ける覚悟
また、通販業界全体が直面している構造的な変化に対する、極めて冷静で鋭い危機感があります。
「物販で生き残っていくには、絶対にデジタルの世界で勝っていかなければなりません。デジタル化が進めば、競合他社というライバルはこれまで以上に増えていき、市場は激戦区となります 。その中で勝機を見出す鍵は、変化への対応スピードに他なりません。
特に大人女性向けのデジタル領域は、変化にいち早く対応し、勝負できた者が勝つ世界。今はことせのインスタグラムを成功させることが第一ですが、ゆくゆくはグループ全体を紙からデジタルへと引っ張っていけるような、感度の高い存在でありたいと考えています 。
50代・60代のSNS活用については、専門コンサルすら十分な情報を持っていません。だからこそ、私たちが世界中からベンチマークされるような存在になりたいんです」
ハルメク・アルファが主な顧客層としているのは70代ですが、今の50代が70代になったとき、そのライフスタイルやデジタルの活用状況は現在とは全く異なるものになっているはず。
「時代に取り残されないように、そしてお客様を置いていかないように。いつまでも一歩先を行く立場で、走り続けていきたいと思っています」
挑む現場シリーズ第1弾、いかがでしたでしょうか。
前例のない「大人女性向けSNS」という領域に対し、固定観念にとらわれず、自ら手を挙げ、試行錯誤を重ねながら道を切り開いていく――。沙耶香さんの歩みは、ハルメクがこれから向き合うべき市場の変化と、その中で何を拠り所にすべきかを示しています。
「正解がないなら、自分たちでつくる」。
その覚悟と、現場に根差した実直な積み重ねこそが、新たな価値を生み出す原動力であることを、静かに教えてくれる内容でした。
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取材・編集/裕之(ハルイロ編集部) ライター/梅津美希
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