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創業物語vol.4:多彩な現場を経験した27年間、3つの「みる」の教えと共に

ハルメクグループの「今」と「未来」を伝えるオウンドメディア「ハルイロ」をご覧いただきありがとうございます。
雑誌『いきいき』(1996年3月創刊)から『ハルメク』へ。これまでの歴史は、いつも人の物語とともにありました。
連載「創業物語」では、創業期を知る社員の声を通して、その歩みをたどります。第4回は、通販・編集・商品開発・店舗接客など27年間さまざまな現場を渡り歩き、創業者から受け継いだ顧客理解の哲学を体現し続ける唯さんです。

本を作りたい私が「通販のグラフ更新」を任されるまで

編集部:社歴が長い人ランキング第3位ということで、ハルメクの激動の歴史をたくさんお伺いできればと思っています。まずは入社のきっかけですが、学生時代から本を作る仕事を目指されていたそうですね。  

唯さん(以下唯):そうなんです、高校生の時に山田詠美さんの小説『ぼくは勉強ができない』を読んだのがきっかけで言葉には人を元気づけたり、励ましたりする力がある。私も言葉を扱う仕事をしたい、そのために本を作る出版社でいずれは仕事をしたいと文学部に進みました。就職活動の際、大学の掲示板で見つけたユーリーグ(ハルメクの前身)の求人票を見て応募し、縁あって内定をいただいた形です。

編集部:1999年入社当初は、創業10年目くらいですよね。当時はどのような雰囲気だったのでしょうか? 

唯:本当に人が少なくて、物事が急に決まるような環境でした。新人研修の初日にいきなり「今日これから撮影があるから来ない?」と言われて、そのままファッションの撮影現場に連れて行かれたりもしました(笑)。

編集部:いきなり撮影現場へ! それは驚きますね。ただ、実際の最初の配属は、思い描いていた編集とは少しギャップがあったとお聞きしました。

唯:最初は『いきいき』の冊子の中にある、8ページの通販のコーナー(のちの物販ビジネスユニット)に配属されて、毎日の売上グラフを更新する役目を任されました。
「出版社なのになぜ通販をやるんだろう、やりたかったことと違うな……」という戸惑いもありましたね。だから創業者に「なぜ出版社なのに通販をするんですか?」と質問したんです。
その時、創業者から返ってきたのが、今でも忘れられないこの言葉でした。
「いずれ出版(情報)は無償化していく。ネットで何でも見られる時代になるからこそ、価値ある情報をいろんな形で届けることが大事になってくるんだ。出版なら紙に情報を載せる。例えば、通販の洋服なら、色やデザインに流行を、素材と型紙に着やすさという情報を載せて、想いを伝える。届ける手段がモノか紙かで、本質は変わらないんだよ」
何度も何度も質問を重ね、業務に邁進するうちに、その言葉がストンと腑に落ちていきました。

創業者から教わった3つの「みる」の本質

編集部:インターネットの普及を見据えた先見の明ですね。通販の規模がどんどん拡大していく中、現場の忙しさも相当なものだったのではないでしょうか?  

唯:最初はわずか8ページだった通販のコーナーだったのですが、どんどん売上が上がっていきました。それに伴って、16ページになり、32ページになり、やがては独立した「分冊(通販カタログ)」になっていきました。
その後、ファッション事業部にいた頃は、創業者が自ら撮影を行っていたこともあり、撮影現場で一緒に過ごす機会が多くありました。何気ない対話の中で「仕事というのはね……」という本質的な話をたくさん聞きました。それは今も仕事をしていく上で大事な核として、私の中に深く残っています。

編集部:具体的には、どのような言葉をかけられたのですか?

唯:「情報の送り手と受け手」の関係について、「送りっぱなしにするのではなく、相手のリアクションを何より大事にしなさい」と言われました。
それから、お客様と接するときに先入観にとらわれてはいけない、とも。「無私の心で、3つの『みる』--見学の“見”、観察の“観”、診断の“診”でお客様をみなさい」という教えです。
人は言うことだけでなく、行動の中にこそ本音が垣間見える。だからこそ、3つの「みる」でお客様が求めているものを考えた上で、情報を重層的に広く深く集めなさい。お客様のことだけでなく、競合や街行く人の姿も広く観察しなさい、と教わりました。

こだわりを捨てて見えてきた、お客様のきらきらした笑顔

編集部:入社以来、27年間で本当にいろいろな部署を経験されていますよね。これまでの経歴をざっと教えていただけますか?  

唯:振り返ると本当にたくさんの現場を経験させていただきました。通販コーナーからスタートし、『ふくふく』や『スムリラ(スムース&リラックスの略)』といった通販カタログの分冊化、ファッション事業部、『いきいき』編集部、店舗事業部、マスメディア部(現マーケティング課)。現在は、株式会社ハルメク・エイジマーケティングのクリエイティブ制作を行う部署に籍を置いています。
通販の事業に携わっている時は、オールジャンルのMD、商品開発、買い付け、編集と、通販にまつわるお仕事をとにかく何でもやる現場。自分で提案したものがどんどん形になるのが面白かったです。
誌面で紹介した商品を実際に体験してもらうイベントもゼロから企画しましたし、入社当時は通販と本誌が明確に部署として分かれていなかったので、読者のお便りページも、通販のページの買い付けと編集に+して作っていました。

編集部:まさに「現場叩き上げ」という言葉がぴったりですが、その中でも転機となったエピソードはありますか?

唯:20代の頃、ファッションの編集と商品開発に没頭していた経験が、私の原点になっています。
私はもともと洋服が大好きでこだわりが強かった分、「自分が良いと思えない商品を、お客様にご紹介するのがつらい」と悩んで立ち止まってしまった時期がありました。創業者からずっと言われていた「無私の心」(私利私欲や自己中心的な感情を捨て去る心)が、当時の私は全くできていなかったんですよね。
悩んだ末に、「1週間お休みをください」と申し出て、ハルメク世代の方に人気のとある街を歩いていた時のことです。お店の人が赤いパンツを、「赤は元気が出る色だし、見えないところでおしゃれしないとね」とお客様にお勧めしていたのです。派手じゃないかしら、はけるかしらと心配されるお客様に向かって「見えないところこそおしゃれしましょうよ! 伸びるし柔らかいからはきやすいんですよ」とグーンと伸ばしてみせた。そうしたらお客様が本当にうれしそうに「そうね、元気をもらおうかしら」と笑顔でそのパンツを買っていったんです。

派手さを感じる赤いパンツをハルメク世代の方がはいているイメージが全くなかった私は、「なんて狭い世界しか見ていなかったんだろう」と衝撃を受けました。お客様のことを見ているつもりで、実は何も見えていませんでした。年代によって求めるものは変わる。おしゃれさもさることながら、着心地や肌当たりの優しさという心地よさも、ハルメク世代の方にとっては大切な価値なんだということが、その時まっすぐに分かりました。

民事再生の逆境から、会社を救った「情と理の改革」

編集部:2009年、入社10年目の時に会社は民事再生という大きな転換期を迎えます。唯さんは当時、現場をどう支えていたのですか?  

唯:もともとユーリーグは、想いで走るような気持ちを大事にしている会社。お取引先や、撮影を依頼したカメラマンさんたちに「本を出し続けたいんです」と、とにかく想いを伝えに行きました。  
民事再生になってからは本当につらい時期が続きましたが、支えてくれたのは、ご愛用者様からの「こんな状況だけど、どうか続けてください」という声でした。  

編集部:そこから宮澤社長が就任し、会社は大きく変わっていきましたよね。 

唯:就任あいさつが「情と理のバランスを大事にして経営していく」というものでした。
一人ひとりと面談をして、私たちが何を考えているのかを聞いてくれた時に「なんてすごい人なんだろう」と思ったんです。だからこそ「変えていいことと変えちゃいけないことは、しっかり考えていただけたらうれしいです」とストレートに伝えました。  
宮澤社長の改革として、カタログの編集では「作戦シート」が作られました。それまでは感性と想いだけでつくっていましたが、系統立てて考えていくためのシートです。
情の部分(主観)と、理の部分(客観)があり、第三者が見ても伝わるシートになっているので、企画を客観的に判断できるようになりました。 MD(商品開発)においても、外部コンサルの知見を入れながら業務フローが整備されていきました。
コロナ前は恒例だった朝の掃除も宮澤社長が来てくれて、この会社を立て直すんだという決意が、一社員の私にもひしひしと伝わってきました。

50歳になっても「挑戦していいよ」と言える環境

編集部:唯さんがこれまで27年間、ハルメクで長く勤めてこられた一番の原動力は何ですか?

唯:自分が作ったものがお客様にどう届くのか、その反響がダイレクトに分かるところです。そこがすべてですね。

ここまでお客様を追いかけ、喜ぶ顔が直に見える環境はハルメクにしかない。今はLINEなど、お客様とつながれる手段が増えたのも良い変化だと感じています。
現在のシニア向けのマーケティング全般の支援を行う株式会社ハルメク・エイジマーケティングへは、紙媒体を一通り経験し、デジタル領域に挑戦したいと考えて社内公募で異動しました。代理店という立場ですが、「クライアントの先にいるお客様を理解する」という本質はハルメクと同じです。つながる対象が2倍になって、仕事の面白さも2倍になりました。

編集部:最後に、新しい挑戦を考えている未来の仲間たちへメッセージをお願いします!

唯:ハルメクは、やってみたいことがあれば、声を上げることで応援してくれる会社です。形にするまでは大変ですが、チャンスもたくさん開かれています。
私自身今年で50歳になりますが、年齢に関係なく「挑戦していいよ」と背中を押してくれる環境だからこそ、あと10年、ずっと成長し続けたいと思っています。ぜひ、恐れずに声を上げてみてください!

創業物語第4回はいかがでしたでしょうか。

創業者から受け継いだ「3つの『みる』」の教えを胸に、通販、編集、商品開発、店舗、そしてデジタルへと挑戦を続けてきた唯さん。27年間、さまざまな現場でお客様と向き合い続けた歩みからは、時代や役割が変わっても、お客様を深く理解し、その声に応え続けることこそが、ハルメクの原点であることを改めて感じさせられます。

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取材・編集/裕之(ハルイロ編集部) ライター/梅津美希



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